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新しい算数研究2024年2月号  新算数教育研究会/編

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特集:「D データの活用」領域における数学的な見方・考え方とその成長とは? 「データの活用」では,統計的探究プロセスを子どもたちが回すということを考えて授業を組み立てています .そのときに必要なことは,やはり子どもたちにとって必要感のあるテーマ設定と,豊かな見方・考え方を引 き出すことのできる授業展開ではないかと思います. 3年生での棒グラフについて学ぶ単元では,交通量調査から入る教科書がいくつかありますが,子どもにとっ て交通量を調べることに必要感が感じられませんでした.そこで,子どもたちがいつも渡る信号を扱うことに しました.渡る青信号の時間が短いのは,もしかしたら交通量と関係があるかもしれないという疑問を引き出 そうと考えたのです.信号の長さと交通量には関係がありそうだと結論付けたときに,もっと大きな道路を渡 る場合,交通量が多くなるのでさらに時間は短くなるのかという新たな問いのもと,大通りを調べてみると, 子どもたちが想定していた時間よりも長いことに驚いていました.長い横断歩道を渡るときには,お年寄りが 渡りきれないといけないからかな? 信号の長さに関係するのは交通量だけではないのかな? など,また新た な問いが生まれました.すべての問いを解決することはできませんでしたが,私も気になったので,警察の交 通課に問い合わせてみました.すると,交通量だけではなく,バスが通る道路を優先していることなど,たく さんのことを教えていただきました. 今回の実践の中でも,算数と他教科である体育や学級活動と結び付けていました.私も総合的な学習と合わせ て取り組みました.教材の組み方次第で子どもたちの学びが無限に広がっていきます.これからも子どもたち の知的な好奇心をくすぐりながら,子どもたち自身でデータと向き合い,結論を導き出す中で,新たな問いが 広がっていく授業づくりの大切さを改めて感じています.この号が子どもたちの探究心をくすぐる「データの 活用」領域の単元デザインの一助になってほしいです. 読者対象:小学校教員・中学校教員・大学教員 出版年月:2024年1月26日