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板書で見る全単元の授業のすべて 国語 小学校6年上 令和6年版教科書対応 中村 和弘/監、西川 義浩・秦 美穂/編著

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令和6年版教科書対応! 本シリーズは、令和2年の現行学習指導要領の全面実施に合わせて初版が刊行されました。 この度、令和6年版の教科書改訂に合わせて、本シリーズも改訂することになりました。 GIGAスクール構想に加え、新型コロナウイルス感染症の猛威などにより、教室でのICT活用が急速に進み、この4年間で授業の在り方、学び方も大きく変わりました。 改訂に当たっては、単元配列や教材の入れ替えなど新教科書に対応するだけでなく、ICTの効果的な活用方法や、個別最適な学びと協働的な学びを充実させるための手立てなど、今求められる授業づくりを発問と子供の反応例、板書案などを通して具体的に提案しています。 【板書例を掲載の新単元】 <6年上>  ・準備  ・伝わるかな、好きな食べ物/続けてみよう  ・公共図書館を活用しよう  ・デジタル機器と私たち  ・私と本/星空を届けたい  ・せんねん まんねん/名づけられた葉  ・インターネットでニュースを読もう  ・文章を推敲しよう 「板書シリーズ」の特徴 現行の学習指導要領において、国語科を指導する上でのポイントの一つは「単元のまとまりで考える」ということです。 国語科では、単元のまとまりを通して、目指す資質・能力が子どもたちに身に付くように、そして、改訂のキーワードである「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善が実現されるように、設計することが大切です。 常に単元全体を、学習過程を構成するひとつの単位として捉え、単元のはじめに見通しをもち、単元の終わりで振り返ることが必要です。その上で、「この時間はこの資質・能力を重点的に身に付けよう」とか、「この時間は特に対話的な学びを充実させてみよう」というように、本時で具体化を図っていきます。 今回新しくなった「板書シリーズ国語」では単元全体を見通しながら、本時を具体化し、授業づくりに生かすことができるように紙面構成を考えたのが大きな特徴です。 また、教科書やノート、鉛筆を使って書いたり読んだりする学びと、ICTを活用して共有したり、提案したり、蓄積したりするなどの活動を組み合わせた「ハイブリッドな学び」を実現するための手立ても提案しています。目的はICTの活用ではなく、学び方の選択肢として有効活用し、「言葉の学び」を深めることにあります。 「新しい学習指導要領の趣旨と実際の授業づくりの架け橋」になることでしょう。 板書シリーズの活用方法 「板書シリーズ国語」の効果的な活用には2段階あると思います。 第1段階は、「単元構想ページ」でこの単元はどんな力を付けるのか、どういう評価規準なのか、どういう単元の流れなのかを確認します。また授業づくりのポイントとして、付けたい力の具体化や、題材や教材の特徴、言語活動についても解説していますので、ヒントにしながら教材研究してみるのもよいでしょう。 そして、第2段階の「本時案ページ」では、いざ授業をつくっていくという前にまず、それぞれの時間の赤い文字の部分を見ていきます。教師の発問例や板書のポイントなどが書かれていますので、授業の進め方や単元のイメージをもち、全体像をつかむことができます。次に、板書案などを参考にしながら本時を1時間ずつ具体化していく作業に入るとよいでしょう。 国語の評価はどうするべきか 今回の学習指導要領改訂では、評価の在り方自体が、国語科は従来の5観点から「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に変わったことが非常に大きい変化でした。 単元のどの時間にどの評価をするのか、今まで以上に意識的に位置付けていかなくてはなりません。この「板書シリーズ」ではABCといった記録に残す評価をする場合と、記録には残さないが、子供の学習の様子を捉え、指導に生かす評価をする場合との、2つの評価の方向性を単元の流れと本時の中に位置付けています。これはつくっていく上で非常に苦労した部分です。これを参考に、指導と評価を一体的に捉え、授業を進めていただくとよいと思います。 「板書シリーズ」を手に取る先生へのメッセージ 令和2年に全面実施となった小学校の学習指導要領では、これからの時代に求められる資質・能力や教育内容が示されました。この改訂を受け、これからの国語科では、 ・言語活動を通して「言葉による見方・考え方」を働かせながら学習に取り組むことができるようにする。 ・単元の目標/評価を、〔知識及び技能〕と〔思考力、判断力、表現力等〕のそれぞれの指導事項を結び付けて設定し、それらの資質・能力が確実に身に付くよう学習過程を工夫する。 ・「主体的・対話的で深い学び」の視点から、単元の構成や教材の扱い、言語活動の設定などを工夫する授業改善を行う。 などのことが求められています。 一方で、こうした授業が全国の教室で実現するには、いくつかの難しさを抱えているように思います。例えば、言語活動が重視されるあまり、「国語科の授業で肝心なのは、言葉や言葉の使い方などを学ぶことである」という共通認識が薄れているように感じています。 あるいは、活動には取り組めているけれども、「今日の学習で、どのような言葉の力が付いたのか」が、子供たちのみならず教師においても自覚的ではない授業も見受けられます。国語科の授業を通して「どんな力が付けばよいのか」「何を教えればよいのか」という肝心な部分で、困っている先生方が多いのではないかと思います。 冒頭に申し上げたとおり、教室でのICT活用や、個別最適な学びと協働的な学びを充実させていくことなど、毎時間がある種のチャレンジになることでしょう。新しくなった教科書、そして新しくなった「板書シリーズ」を見ながら、実際に授業を通して創意工夫をして試行錯誤をして進めていただきたいと思います。 日々教室で子供たちと向き合う先生に、「この単元はこんなふうに授業を進めていけばよいのか」「国語の授業はこんなところがポイントなのか」と、国語科の授業づくりの楽しさを感じながらご活用いただければ幸いです。 読者対象:小学校教員 出版年月日:2024年3月21日 ページ数:216 判型:B5判